クリスマスソングの名曲、ワム!の「ラストクリスマス」は失恋物語。
アメリカ育ちで日英バイリンガルのアミノくんと一緒に、英語表現の繊細なニュアンスを掴んで曲を楽しみましょう。
曲を聴く
“Last Christmas” – Wham!
曲のあらすじ
はじめに歌のストーリーが集約されているサビをチェックしてみます。
Last Christmas,
I gave you my heart
But the very next day,
You gave it away
This year,
To save it from tears,
I’ll give it to someone special
Wham! “Last Christmas”
サビで 「3つの時期」の出来事が語られているね
- Last Christmas(去年のクリスマス)
- the very next day(そのすぐ翌日)
- this year(今年)
去年のクリスマスに何かがあって、そのすぐ翌日にも何かが起こった?今年は何?!
では、それぞれの「時期」の出来事について、歌の主人公が何て言っているのか確認していきます。
I gave you my heart.
去年のクリスマス⇒ 僕の想いを君に捧げた。
You gave it away.
そのすぐ翌日⇒ 君は僕の心をつっぱねた。
To save it from tears, I’ll give it to someone special.
今年(のクリスマス)⇒ 僕の心が涙で濡れないように、大切な人に捧げることにする。
この主人公は、去年のクリスマスに付き合って1日で振られたのか …
彼の今年の決意を見ると、去年は相当辛かったんだろうな
サビからわかった曲のおおまかなあらすじです。
去年のクリスマスに1日だけ付き合って振られてしまった男性が、来年こそは幸せになる!と決意して立ち直ろうとする物語
それではここから、歌詞全体を見ていきます。
歌詞のニュアンス-1番
歌詞は、ことわざ的な慣用句から始まります。
警戒する(ことわざ)
Once bitten and twice shy.
一度嚙まれたら、二度目は用心する
日本語の『羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く 』(熱いものを食べて火傷した経験から、冷たい膾もフーフーして冷まして食べる)と同じような意味です。
一度痛い目をみたら、二度と同じ目に遭わないように警戒するときに使われる
未練、それとも、執着?
I keep my distance but you still catch my eye.
距離を置いているのに、つい君を見てしまう。
「僕は距離を置いているのにも関わらず、君は僕の視線を捉えてしまう。」ことを表しています。
ダメだとわかっているのに、気になってしょうがない
皮肉か自虐か
2つフレーズが続きます。
Tell me baby, do you recognize me?
どう、僕のことわかる?
do you recognize me?は、かなり長い間会っていなかった人に向かって訊ねるときに使われる表現です。
例えば、30歳で高校の同窓会に行って旧友に会ったときなど。
最後に会ったときから自分の外見や雰囲気が変わり、相手が自分を認識できるか確認するときに使われます。
この曲では、自分と彼女が最後に会ったのは1年前。彼女が自分を認識できてあたり前の年月しか経っていません。
なので、歌詞のdo you recognize me?は、ただの質問でないことがわかります。
1年しか経っていないけど、薄情な君のことだから、もう忘れているでしょ?っていう皮肉な感じ
Well, It’s been an year, it doesn’t surprise me.
まあ、1年経つから、驚かないよ
It doesn’t suprised me.は、意外性がない、当たり前だと思っていることに対して使うフレーズ。
「俺のこと覚えてる?まあ、1年経ったから、君が俺のことわからなくても驚かないけどさ」という皮肉とも自虐ともとれるニュアンスだね
ロマンチックな表現
I wrapped it up and sent it.
僕の想いをプレゼントにして贈った
※wrap up = きっちりと包装する
直訳すると、「それをきちんとラッピングして贈った」という意味になります。
自分の愛をクリスマスプレゼントとして彼女に贈ったと伝えたいのでしょう。
去年のクリスマスに1日で僕を振った彼女
その彼女と遭遇してしまった
彼女とは関わらなようにしているのに、視線は彼女を追ってしまう
去年のクリスマスの悲しい出来事が蘇る
歌詞のニュアンス-2番
1年ぶりに、自分を振った彼女を見かけて動揺する主人公。
2番では、彼の置かれている状況が少し詳しく描かれています。
時間の経過が想像できるフレーズ
A crowded room, friends with tired eyes.
人で溢れかえっている部屋、目に疲れの色が出てきた友人たち
※tired = 疲れたり飽きたりしてウトウトぐったりしてきた
場所はクリスマスパーティっぽいね
友達の目に疲れが出てきていることから、パーティー開始後かなり時間が経っていると想像できます。
クリスマスパーティーの会場で、彼はかなり長い時間、彼女のことを考えていたことがわかるフレーズだね
寂しさを紛らわすための相手
Me? I guess I was a shoulder to cry on.
僕?僕は慰め役だったんだろうね
a shoulder to cry onは「泣いて寄りかかるための肩」=「悩み事の聞き役」という意味です。
「君はただ寂しくて俺を利用しただけ」ということが言いたいの?
そんなところだろうね
男の心を弄ぶ
A man undercover but you tore me apart
想いを胸に秘めた男、そんな僕を君は思い切り傷つけた
※undercover = 秘密裡の、隠れた
この表現は抽象的で、英語でも想像するしかない
うさミミ英語では、「a man undercover」 は「自分の本音を表に出さない男」だと解釈しました。
彼はシャイで生真面目な感じがするね
去年のクリスマスに彼女のほうから積極的にきたから彼が告白して、彼女が受け入れた風だったけど、次の日、やっぱり違ったみたいになったのかな?
そんな感じかもね。真実はジョージ・マイケルのみぞ知る
彼女を見かけたのは、クリスマスパーティーの会場
パーティーのあいだ中ずっと彼女とのことを考えてしまっている
去年のクリスマスのことを思い返して、心の中で彼女をなじる
そして、サビで歌っているように、男性は来年のクリスマスは幸せになると気持ちを新たにします。
まとめ
”Last Christmas”は、去年のクリスマスに1日で振られてしまった男性の失恋ソングです。
歌詞の要約
- 去年のクリスマスに
- 想いを寄せていた女性といい感じで
- 幸せなクリスマスを過ごしたのに
- 翌日早々、彼女に振られて立ち直れないくらい傷ついた
- 彼女は寂しさを紛らわすために僕を受け入れただけだったのか
- 今年こそは、好きな人と一緒に過ごそうと心に誓ったが
- クリスマスパーティーで彼女を見かける
- 去年のことが思い出されて悲しいやら腹立たしいやら
- 結局、今年のクリスマスは彼女のことを考えて過ごしている
- 好きな人と想いを遂げるのは、来年かな…
歌詞の全文和訳
歌詞の全文和訳は 『洋楽の歌詞を和訳しているブログ』に掲載中です。