この記事では、イーグルスの曲「ホテルカリフォルニア」の意味を知ることができます。この曲の意味を語るメンバーたちのインタビュー動画を中心に真実を紐解いていきます。
イーグルスの驚異的な人気
アメリカ国内で最も売れた音楽アルバムは何でしょう?
RIAA(アメリカレコード協会)によると、
マイケル・ジャクソン『スリラー』
ではないんです!
マイケル・ジャクソンの『スリラー』は総売り上げ第2位。
では、『スリラー』の上に君臨している、全米総売上第1位は、一体、誰のどのアルバム?
TOP3はハンバーガー
アメリカ国内で、マイケル・ジャクソンの『スリラー』をしのぐ総売り上げナンバーワンのアルバムは、これです!
Eagles(イーグルス)『Their Greatest Hits』
その次がマイケル・ジャクソンの『スリラー』
じゃあ、その次に売れている、総売り上げ第3位のアルバムはというと…
Eagles(イーグルス)『Hotel California』(ホテル・カリフォルニア)
またイーグルス!
ハンバーガーみたい。
RIAA(アメリカレコード協会)が発表している売り上げ枚数は次のとおり。
■アメリカ国内アルバム 総売り上げTop3
Artist | Album | Shipments (Sales) |
---|---|---|
Eagles | Their Greatest Hits (1971–1975) | 38,000,000 |
Michael Jackson | Thriller | 34,000,000 |
Eagles | Hotel California | 26,000,000 |
半世紀近く、イーグルスの曲はアメリカで愛され続けているんですね。
中でも、第3位のアルバム『Hotel California』に収められている同名のシングル『Hotel California』(以下、『ホテル・カリフォルニア』と表記)は世界的に知名度も人気もダントツに高いのは言うまでもありません。
『ホテル・カリフォルニア』の人気の秘密は、楽曲の良さはもちろんのこと、聴く者の想像力を駆り立てる短編小説のような歌詞にあるのではないでしょうか。
曲の意味の憶測
『ホテル・カリフォルニア』の歌詞については、たくさんの憶測や解釈が飛び交ってきました。
インターネット上では、次のようなものが散見されます。
- メキシコでマリファナのことをコリータス(colitas)という
- メキシコ人だったイーグルスのツアーマネージャーがマリファナのコリータスという呼び方をメンバーに教えた
- 離婚したばかりの男の歌
- ドラッグが止められない人の歌
- 悪魔崇拝のアントン・ラヴェイのことを歌っている
アントン・ラヴェイとは、これまた興味深い解釈ですね!
本当のところはどうなんだろう?
曲を作った本人の解説
『ホテル・カリフォルニア』がリリースされてから長い間、曲の作者であるイーグルスのメンバーたちは曲の意味について言及しませんでした。
ですが、ここ15年くらいのあいだ、メンバーたちが様々な媒体で曲の意味を聞かれ答えています。
ここからは、イーグルスのDon Henleyと元メンバーのDon Felderのインタビューを紹介していきます。
彼らのインタビューを見ながら、『ホテル・カリフォルニア』の本当の意味を紐解いていきましょう。
ドン・ヘンリーがインタビューで使った覚えておくと便利な英語表現も一番最後に取り上げています。
Don Henleyのコメント
では、2007年のDon Henleyのコメントからスタートです。
彼は曲の意味について、次のように語っています。
“Some of the wilder interpretations of that song have been amazing.
It was really about the excesses of American culture and certain girls we knew. But it was also about the uneasy balance between art and commerce.“
2007年11月9日付 “Daily Mail“より
あの曲(ホテル・カリフォルニア)の途方もない幾つかの解釈には驚かされっぱなしだよ。
アメリカの文化の節操のないところと、僕らが知っているある女の子たちについての曲ってだけだったんだ。芸術と商業の危ういバランスついての曲でもあったけど。
あんまり意味深な歌詞ではない感じ
Don Henleyが語る曲の意味
Don Henleyは『ホテル・カリフォルニア』の歌詞のほとんどを書いたと言われています。その彼が語る曲の意味とはどんなものなのでしょう。
日本語訳をつけました。参考にしてくださいね
インタビュー動画
Don Henleyは、世に出回っている「ホテルカリフォルニア」の解釈の中には、行き過ぎた憶測によるものがあると度々示唆しています。
Some of ‘em are just insane.
常軌を逸しているものもある
ドン・ヘンリー「60 Minutes Australia」より
2014年6月
Don Henleyが『ホテル・カリフォルニア』の意味に言及している動画を紹介します。
2014年6月に収録されたニュース総合番組「60 Minutes Australia」
※Don Henleyのインタビューは動画の12:09~
動画の12:09~
(DH=Don Henley 、Q=インタビュアー)
Q: You know, this is possibly your least favorite question of all, “Hotel California”. What does it mean?
DH: The song? It means different things to different people, you know.
Q: It seems to be quite a lot of meanings to a lot of different people.
DH: They are. Some of ‘em are just insane. But that’s OK.
(music♪)
DH: The song is created it, uh…its own methodology and there’s this myth about where the song was written, in Mexico, the place to which none of us have ever been.
But the song is simply about the journey from innocence to experience, and on the whole, that’s what it’s all about.
【日本語訳】
Q:これはあなたの一番苦手な質問かもしれませんが、『ホテル・カリフォルニア』はどういう意味ですか?
DH:曲の意味?意味は人によって色々違いますよね?
Q: 非常にたくさんの人にとって、意味がかなり違っていますね
DH:そうですね。常軌を逸しているものもあるけど、まあいいでしょう。
(音楽♪)
DH:この曲は…独自の哲学的な仮定を生み出して、曲が書かれた場所はメキシコなんていう神話もある。メンバーの誰も行ったことがないのに。
この曲は単純に、未熟な状態から成熟した状態への変容について歌った曲です。大体、まあ、そういうことですよ
The song is created it, uh…って言っているけど、The song has createdと言うところを言い間違えたんだと思う
曲の意味は、2007年のインタビューで説明していたのと少し違ってる
曲が作られてから50年近い年月が流れていく過程で、作者本人もいろいろ経験して、彼にとっても曲の意味が変化してきたのかも
Don Felderが語る曲の意味
作曲者のDon Felderは多くのインタビューで『ホテル・カリフォルニア』の曲作りにまつわるエピソードを話しています。曲の意味のヒントになりそうなものを紹介します。
歌詞が作られた過程
動画の3:28~
We started talking about the idea…of…the nobody in the band was from California. We all drove here from different part of the country.
And the imagery that we have in our minds of what California is, which is palm trees, bathing suits, surfers, stars on Hollywood Boulevard, the entertainment business, movie stars, music business. All of that stuff that worldwide has a concept of what California is.
So Don was brilliant and came up with the concept of hotel California and finished the lyrics and that’s how that song came about.
【日本語訳】
私たちメンバーはアイディアを…バンドのメンバーは誰もカリフォルニアの出身じゃないんですよ。みんな全国の違う場所からここ(カリフォルニア)に移動してきましたから。
それで、ヤシの木や水着、サーファー、ハリウッドブルーヴァードの星型、ムービースター、音楽業界など私たちが心に描くカリフォルニアの姿。世界に広く持たれているカリフォルニアのコンセプトについてなどすべてを出し合いました。
それで、Donはすごかった。『ホテル・カリフォルニア』のコンセプトが思い浮かんで、歌詞を完成させたんだから。それが曲が出来たいきさつです。
カリフォルニアから連想されるものをブレーンストーミングみたいにメンバーで出し合って歌詞を構築していったんだ
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Colitasはマリファナのこと?
歌詞の中に出てくる”colitas”はマリファナだという説が広く知れ渡っています。
スペイン語で植物の蕾(つぼみ)のこと。メキシコではマリファナのことらしいのですが…。
『ホテル・カリフォルニア』に出てくるcolitasは、果たして「マリファナ」のことなのでしょうか?
Glenn Freyの説明
Don Felderの説明
“The colitas is a plant that grows in the desert that blooms at night, and it has this kind of pungent, almost funky smell.
Don Henley came up with a lot of the lyrics for that song, and he came up with colitas.“
「Song Facts」より
「コリータスは夜に花を咲かせる砂漠に生息している植物です。こう、ツンとするような、臭いような匂いがするんですよ。
Don Henleyはあの曲(ホテル・カリフォルニア)用に歌詞をたくさん思いついて、コリータスを思いつきました」
Glenn FreyもDon Henleyもコリータスは「植物」だと言っています。
まとめ
歌詞の意味のまとめ
メンバーが語った曲の意味をまとめます。
- アメリカの文化の節操のないところと、メンバーが知っているある女の子たちについての曲
- 芸術と商業の危ういバランスついての曲でもある
- 未熟な状態から成熟した状態へ変容していく道のりについて歌った曲
- コリータス(colitas)は砂漠に生息している植物のこと
- 一般的なカリフォルニアのイメージがベースになっている
最もパワフルなフレーズ
私個人としては、歌詞の一番最後のフレーズに一番強いメッセージを感じます。
You can check out anytime you like
But you can never leave
「あなたはいつでもチェックアウトできるけど、結局は、また戻ってきてしまうよ」という意味のこのフレーズ。
それは、快楽に溺れるときの「やめたいけど、やめられない」という葛藤であり、誰もが持っている人間の悲しい性をズバリ表現しているのだと、私は解釈しています。
本来、「やめたいけど、やめられない」という状況に陥っている姿は歓迎されるものではありません。
なにしろ葛藤している本人がたまらなくストレス!
それが、『ホテル・カリフォルニア』を聴くと、「やめたいけど、やめられない」ことが肯定はされてはいないけれども、承認されているように感じて、解放された気分になります。
ロサンゼルスに住んでいたときに、まさにそう感じました。
いつまでもここにいてはいけないとカリフォルニアをあとにしましたが、結局、カリフォルニアが恋しくなって戻ったことがあります。『ホテル・カリフォルニア』の歌詞のまんまです。
ドラッグが止められない人の歌、離婚して癒されたい人の歌、禁煙できない人の歌、アルコール中毒の人の歌、不倫している人の歌etc.
そういった解釈が生まれてくるのも、この葛藤を表したような歌詞の一番最後のフレーズによるとこころが大きいのかもしれません。
歌詞の和訳
「洋楽の歌詞を和訳しているブログ」でご覧いただけます。
英語ワンポイントレッスン
今回の記事で紹介したインタビューの中に、会話によく登場するフレーズをいくつかピックアップします。
Don Henleyが言ったフレーズ
「大体」「おおまかなにいうと」「概して」
「つまりそういうことです」「まあ、そういうこと」
on the whole